スペイン・バルセロナより世界に壁紙やファブリックを発信しているcoordonné社。 家族経営である同社は2002年に母から息子へバトンが渡され、2019年に創立40周年を迎えました。壁紙部門に変革をもたらしている若いクリエイティブなチームが会社を率いており、インテリア業界へ新しいアプローチを続けています。 そんなcoordonné社のコレクションの中でもおすすめ、『Tiles』をご紹介します! 『TIles』はスペイン・アンダルシア地方の宮殿やバルセロナのガウディ建築などからインスピレーションを受けたタイルのデザインを収録。 どんなデザイン?そもそもなぜ、インスピレーションを受けたり、それがモチーフとなったのでしょうか。
8世紀初頭、ムスリム勢力がジブラルタル海峡を越えイベリア半島を支配。その歴史は約800年間にも及び、強く影響を及ぼします。歴史が進み、再びキリスト教の勢力が盛り返していく中、最後のイスラム王朝が現在のアンダルシア地方グラナダに成立し、アルハンブラ宮殿を造営。西方イスラム文化が開花します。アルハンブラ宮殿は城塞都市であり、内部に様々な施設が建造されています。キリスト勢力に押されイスラム最後の砦として集まってきた芸術家たちは、その技を緻密な幾何学模様や植物の文様、カリグラフィーなどの装飾として余すことなく建造物の随所にほどこし、洗練された華麗なイスラム建築をつくり上げたのです。アルハンブラ宮殿はイスラム王朝最後の繁栄の象徴であり、イスラム建築の最高峰です。 イスラム芸術や文化に心酔し、そんなアルハンブラ宮殿に憧れた異国の王が、居城の大改築を行いつくり上げたのがセビリアにある「アルカサル」(スペイン語で「王宮」の意)です。アルハンブラ宮殿もアルカサルも世界遺産に登録されているので、訪れたことがある方も多いかもしれません。
©️Jebulon アルハンブラ宮殿
©️Ronny Siegel アルハンブラ宮殿内部
©️Hermann Luyken アルカサル内部
アルハンブラ宮殿や、アルカサルを最高傑作と言わしめる所以である装飾、そのひとつである緻密なモザイクタイルに目を付け、『Tiles』コレクションでは【壁紙】になりました。
Alandalus 3000031
Feria 3000033
Marbel Chess 3000001
Zig zag 3000037
栄枯盛衰を経ていまなお威厳を示す宮殿。そこで使われているタイルを彷彿させるデザイン。身近に取り入れてみませんか?そして、スペイン・バルセロナといえばあの巨匠を思い出さずにはいられません。 あの、未完成の世界遺産「サグラダ・ファミリア」のアントニ・ガウディです。イスラム文化がアンダルシアの地に大きく影響を及ぼしたように、ガウディの作品はいまだにエネルギーを発し、世界中の人々を魅了し続けています。 ガウディとタイル。ガウディも作品にタイルを多用しています。 ガウディの初期作品<カサ・ビセンス>。<カサ・ビセンス>はレンガ・タイル工場の社長の住居として建設されました。外観は、イスラム建築とキリスト教建築が融合したムデハル様式の影響を受けており、外部にも内部にもふんだんにタイルが使われています。
©️Michela Shimonchini Casa Vicens<カサ・ビセンス>
そんなタイルのひとつが壁紙に。
Daisy 3000022
<カサ・ビセンス>内部にも余すことなく使われています。
©️Pol Viladoms カサ・ビセンス内部
バルセロナの中心を走るグラシア通りの歩道に敷き詰められるヘキサゴンのタイル。こちらもガウディのデザインです。
©️TumbleCow
そんなデザインも、もちろん壁紙に。
Dragon Flower 3000023
上記のグラシア通り沿に建つガウディ作品<カサ・バトリョ>。
©️ChristianSchd Casa Batlló<カサ・バトリョ>
<カサ・バトリョ>の造形にはいくつか説があるそうですが、屋根にドラゴンが乗っているという説が有力だそうです。背中を丸めたドラゴンに、屋根の瓦がドラゴンの鱗に見えませんか? 「鱗」という名前がつくデザインの壁紙があります。この屋根のデザインからインスピレーションを受けたものではないでしょうか。
Scales 3000024
ガウディのデザインではありませんが、バルセロナフラワーと言われるバルセロナ市民に愛されるシンボルマーク。こちらのデザインのタイルが20世紀の初めから市内に舗装されているそう。
O様邸 Clover 3000021
格子窓という名がついたデザイン。イスラム教の影響を感じるデザインをガウディが生きたモデルニスモの解釈で。 ※モデルニスモ…バルセロナを中心としたカタルーニャ地方で興ったフランスのアールヌーボーに類似した独自の新しい芸術様式。
Celosia Clay 3000012
『Tiles』コレクション、その魅力は伝わったでしょうか。全てをご紹介することはできていないので、ぜひこちらからチェックしてみてください。 このブログを書いている私は、アンダルシアもバルセロナも、残念なことにまだ訪れたことがありません。遠い異国の、遠い歴史に思いを馳せ、憧れを抱きながら『Tiles』コレクションから旅を始めたいと思います。 スペインで生まれた素晴らしい装飾が、時空を超えカタチを変えてみなさんのもとへ。その煌めきがずっと続きますように。