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「1838wallcoverings」壁紙の歴史が家族の誇り

四世代に渡りイギリス・ランカシャー州で壁紙製造に携わってきた、世界で稀少な技術をもつ壁紙メーカー『SURFACE PRINT』社。数多の有名ブランドの壁紙を製造し、バッキンガム宮殿やホワイトハウスも彩っています。1888年にWalter Watsonが壁紙の仕事に就いたことからその歴史は始まりました。 そして、曽孫であるJames and Abigail Watson姉弟は2016年に新しく1838wallcoveringsという自社ブランドを立ち上げます。 どうして1888ではなく1838wallcoverings? 1838年 ⎯⎯ 日本は天保9年江戸後期。イギリスで何が起こったのでしょうか。 壁紙の起源には諸説ありますが、ヨーロッパで広く認識されるようになったのは16世紀頃から。 その歴史は製紙、印刷技術の進歩と共にあります。 約40cm×約50cmの小さな紙にプリントされていたものが、シートをつなぎ合わせ長いロールになったのは17世紀半ば。ロールの登場により大きなリピートで大胆なデザインが生まれ、ブロックプリント(木版印刷)も発達、イギリスの壁紙業界は繁栄していきます。その人気ぶりに政府が注目、新たな財源の可能性を見込まれ18世紀にはなんと壁紙税(!)が課せられていました(後の1836年に廃止)。壁紙は高級品になり価格も高騰、しかし富裕層での評判はうなぎ上りで、室内装飾業者によってエレガントで美しいパターンがインテリアに設えられていきます。

時は流れ1838年、ブロックプリントが主な製造手段であった壁紙業界に技術革新が起こります。 手作業であるブロックプリントはデザインによって版の種類が膨大であり、熟練された技術が必要で非常に時間がかかりました。 イギリス・ランカシャー州は産業革命期に綿工業が発達、ダーウェンという町にあった『Potters & Ross』社が、綿布にキャラコ印刷を行う機械を改良し壁紙印刷に転用、ブロックプリントの質感を持ち、より多くの壁紙を製造できる<サーフェスプリント印刷機>を発明。この発明によって壁紙は大量生産が可能になり、価格も手に取りやすく市井の人にも届くようになったのです。  

surface print machine

  さらに時は流れ、現代へ。 壁紙メーカーである『SURFACE PRINT』社のJames and Abigail Watson姉弟が、『1838wallcoverings』を立ち上げ2016年に2つの壁紙コレクションを発表。ブランド名の"1838"は『Potters & Ross』社がはじめてサーフェスプリント印刷機を発明した年、そこから始まった壁紙イノベーションに因んでいます。受け継がれるクラフトマンシップ、100年以上前から動き続ける現役の印刷機と最新のデジタル技術、家族四代にわたり最高品質の壁紙を作り続け、審美眼を磨いてきた彼らが、オリジナルの壁紙をデザイン、製造を始めることになるのは自然の流れなのです。
それでは、1838wallcoveringsが産み落とす美しい作品たちを一部ご紹介していきます。
 

Faversham 1602-101-03

1990年代には姿を消してしまっていたフロック壁紙。 1838wallcoveringsは確かな技術と美しいデザインで2000年代に再びカムバックさせます。

 

こちらのデザインは2つの異なる印刷技術を用いています。 美しく輝くフェザー調のマーブルはデジタル印刷。その上に柔らかいベルベットの伝統的なダマスクがフロックで重なります。

 

Harewood 1602-100-01
(お取り扱い可能です。詳細はお問い合わせください。)

クラッシックなシノワズリーの木のパターン。ホイル調のベースにサーフェスプリント。まるで木版で刷ったかのような仕上がり。 今までにないカラーの組み合わせで、こんなにモダンに。

 

Harewood 1602-100-03(k様邸)

煌くゴールドバージョン。新年の飾り付けなどで部分的に使っても見事に華を添えます。

 

Prism Mineral 2008-151-01

水彩で表現されたクリスタルのかけらたち。水面に反射するやわらかな揺らめきが見事にデジタルプリントで再現されています。

 

Rosemore 1601-100-05(U様邸)

現代的な配色を伝統的なサーフェスプリントで。色の重なり、滲みを味わって。お部屋がイギリスのカントリーガーデンに繋がります。

 

Bramble Blue Dusk 2008-149-01

自然に緩やかなカーブを描くリーフ、ビーズが繊細な陰影を青い夕暮れの中に落とす。 こちらのデザインはデジタルプリントの上にビーズ加工が施されています。

  いかがでしたか?1838wallcoveringsの壁紙はこちらからご覧いただけます。   今回のブログは壁紙が発展していくストーリーでもありました。 まさに壁紙の技術の発展と共に歩み、壁紙の歴史=家族の歴史であるWatson家。曽祖父の時代からずっと続けて来たからこそ守っていける伝統と技術。そしてずっと守っていきたいからこそ、続けて行かなくてはならない。若い世代に受け継いでいかないといけない。 年間100万本を超える壁紙を安定して製造できる能力があり、90人を超える熟練した職人を抱える『SURFACE PRINT』社。Watson家は今や大家族となりました。素晴らしいチームワークと高度なスキルで伝統と革新をたやすく融合させることができると言います。 100年以上前の印刷機は今日も回り続けているでしょう。これからもずっと、回り続けて欲しい。 1838wallcoveringの壁紙を手に取ってみませんか。そのロールには、壁紙のへの愛情が層となり、長い長い長い歴史が刻まれています。