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Sian Zeng10年の歩み

キッズルーム向けの壁紙デザインで人気のイギリスのブランド【Sian Zeng】(シャン ゼン)。 2019年に10周年を迎えました。 中国で生まれ、ハンガリーに育ちイギリスへやって来たSian Zeng。 それぞれの国でアートを学んだ彼女。その才能はどう開花していったのでしょうか。 彼女の歩んで来た10年の旅路をご紹介します。
物語は2009年に遡ります。 名門セントラルマーチンズのテキスタイルデザインコースを卒業。これは経済学に続き、彼女自身が自分で選んだ2つ目の学位でした。 学んだことを最大限に生かし、作品を生み出すために、週末には大学の施設や設備を使い壁紙をプリントしていたと言います。 時々、当時はまだボーイフレンドであったパートナーも手伝ってくれていたそうです。

当時、大学でハンドプリントするSian Zeng

 
Sianのイラストには魅力がありました。現にセントラルマーチンズから奨学金も獲得しています。デザインを学んでいた早い段階で、イラストを使い物語を生み出すことに興味を持っていました。

William Atkinson賞を受賞した赤ずきんとオオカミのイラスト

  後にSian Zengの代表作ともなる「Woodlands wallpaper」をテキスタイルデザインコースの卒業展で発表。 この作品は成功を収め、新聞やブログで度々取り上げられるようになり、親友となったMargarita Lorenzoを通して、多くのデザイナーたちを紹介されました。 

ブログで取り上げられるSianの壁紙。Woodlands wallpaperは特殊施工をすることにより、彼女の生み出す個性的なキャラクターや吹き出しのマグネットを使って自分だけのオリジナルストーリーをつくることができます。このユニークで独創的な作品は、Sian Zengの代表作となり、根強い人気を誇っています(※マグネットと一緒に使えるようにするには特殊加工の為オプション注文になります。ノーマルデザインはこちらからご覧になれます。)

 
卒業後はパートナーのいるオックスフォードに移り会社を立ち上げます。インターネットでハンドプリントのマグネットやキーホルダーなど小さなアイテムの販売を開始。オックスフォードでの生活が1年を過ぎた頃、業界の見識を広め、幅広いネットワークとサポートを得るためにSianはデザイナーやメーカーが共存するロンドンへ向かいます。   ロンドンでもハンドプリントの壁紙やクッションの制作を続けていました。そして同時期に、セントラルマーチンズ在学中に制作した壁紙とアニメーションがElle Decoration Young Talent of the Year Awardを受賞。続いてMilan Design Week 2011で作品が展示され、彼女は素晴らしいつながりを広めていきます。

Sian Zeng 2011 First Hand Printed Wallpaper Collection by  Rus Anson

 
輝かしい道のりを歩んでいる一方、彼女は道に迷ってもいました。ビジネスは大学で学んだ教科書通りには行かず、経験が物を言い、独創性がありハイクオリティな作品のみが大企業と張り合える鍵となることを感じます。
人々はまた、Sianになぜ壁紙のハンドプリントを続けなかったのかと問います。幾つかの理由がありますが、第一にプリントすることよりもデザインすることを楽しみたい。第二にハンドプリントでの作業は壁紙が高価になってしまう。第三に彼女が使っていた設備では満足のいくデザインのパターンの精度がでないという理由からでした。周りが、「パターンがずれてしまったとしても、それは手描きの特徴だから気にすることはない」と言ったとしても、納得できない壁紙を送り出すことは、Sianにとってはアンハッピーであり満足できなかったのです。彼女は常にハイクオリティーな作品を目指し続けているのです。   2011年−2012年 大きなターニングポイントを迎えます。それまで壁紙はハンドプリントすることで高価になり、多くの時間を取られ、新しいデザインをすることができませんでした。そんな時、アメリカ出身の女優で歌手のヒラリー・ダフのインテリアデザイナーから大口の注文が入ります。Sianのファーストコレクションとしての壁紙の製造が始まりました。ヒラリー・ダフの出産に間に合うよう、工場に毎日のように連絡し、プリント状況を確認したと言います。こうして、2012年、Magnetic Woodlands Wallpaperがヒラリー・ダフのベビールームのために準備されました。

ヒラリー・ダフがSian Zengの壁紙、Magnetic Wallpaperについて語る記事。 「インテリアデコレーターがこの壁紙を見つけたの。マグネットがつくのよ!愛くるしいキュートなキャラクターたちを自由に配置することができるの。飛んでいるブタと自由にコメントを書き込める吹き出し。なんてかわいらしいの!ほれぼれしちゃうわ!」

 

Magnetic Woodlands Wallpaperをアピールするための予算は少なく、撮影はSianの才能ある友人たちの手を借りて行われました。 親友がスタイリングを整え、モデルは友人の子供、キャビネットなどの小道具は同じ建物に入居する人々からレンタル、低予算ながらもSian zengの世界観を伝えるイメージピクチャーが生まれたのです。 これが功を奏し、マスコミで取り上げられ広がり、雑誌Elle decorationで特集されます。

Elle decorationに取り上げられた記事

 
2012年−2014年 壁紙にコーディネートできるプロダクトの試みに挑戦していましたが、Sianは壁装材のコレクションに絞り、広げていくことを決めます。 2014年、デコレーションやライフスタイルを紹介する有名なブログで「Dino Wallpaper」が紹介され、さらなる飛躍を見せます。Dino Wallpaperの記事が出てからしばらくはプレス対応に追われたそうです。これは、後に撮影を重ねていくことになるスタイリストとの初めての仕事でもあったそう。

Dino Collection photoshoot by Jon Day and styled by Charlotte Love

 
2015年−2016年 パリで行われるMaison et Objetに参加。フランス語に疎いSianと彼女のアシスタントは、展示会のスタッフがシャンパン片手に、TV局のニュース取材の申し出があったときに、Les Decouvertes Prizeを受賞したのだと気付きます

TV取材を受けるSian Zeng

 
Maison et Objetで発表されたコレクションは好評で、Elle decorationやArchitectural Digestの誌面を飾りました。

 誌面を飾るSian Zengの壁紙

 
2017年−2018年 仕事が大きくなっていくにつれ、Sianはクリエイティブな面が疎かになっていると感じます。もちろん、ビジネスを営むことを楽しんでいましたが、一方で絵を描くための多くの時間を失ってしまっていました。彼女は長い間、大きな森を描く構想を持っていましたが、それに費やす時間はないと、ずっと延期していたのです。 ある朝、Sianはコーヒーショップで絵を描きました。その絵は、「ビジネスではなくクリエイティブな感覚に耳を傾ける時」だと気づかせます。

Hua Trees初期スケッチ

 
中国風の森を描きたかった彼女は中国絵画のコースに入学します。作品を描くのに6ヶ月を超え、リタッチしパターンを整えるのにさらに数ヶ月かかるとは思ってもみませんでしたが、出来上がったものはそれだけの価値がありました。 作品はとても大きく、大きなスケールの作品を扱うことについて、たくさんの学びを得て、このmural(壁画)スタイルの壁紙はSian Zengの大きな部分を占めることになるのです。<Hua Trees>はこれまでで最も人気のあるコレクションの一つとなりました。

Hua Treesを描くSian Photo by Rachael Macrae

 
世界中の家や雑誌でSian Zengの壁紙を目にするようになりました。2018年には家具とのコラボレーションで彼女自身の家が取材されることに。

自宅で撮影されるSian photographed by Veerle Evens for Made.com

 
2019年 10周年を迎え、すべてがまとまってきたとSianは言います。「Clematis」という新しいコレクションも発表されました。

クレマチスの撮影準備をするSianとスタイリストのCharlotte Love

  繊細に描かれた花が枝垂れる姿は寝室の天蓋のようであり、部屋の一角に美しいシーンを生みます。 このコレクションの発表直後、Etsy Global Design Awardsで「Magnetic Dino Wallpaper」がグランプリを受賞し、2019年の後半はより一層刺激的になります。   Sianは、10年を振り返ると、時にはカタツムリのようにゆっくりとしたペースでも、長い道のりを歩んできたと言います。問題に直面しても、励ましてくれるパートナーや仲間達、作品を手にしてくれるカスタマーのおかげで続けることができたと。仕事を始めた時、すぐにはうまくいかないことはわかっていた、それでも新しいものを作り、美しいものと楽しいものを融合させた物語を人々のもとへ届けることに情熱を傾けたいと彼女は歩みを始めたのです。   クリエイティブな才能と仕上がりの精度にもこだわりを持ち、ビジネスの感覚も鋭いSian Zeng。 次の10年はどんな道のりを進むのか楽しみです。 次回のブログで、Sian Zengの作品をご紹介します!