水だけで貼れる壁紙 Hattan (ハッタン) に
Yukari Sweeney Design が仲間入り!
Hattanとは、賃貸OK!45cm角のピースをパッチワークのように並べて貼る壁紙のこと。
ロンドンに拠点を置くデザインスタジオ、Y.S.D LONDON 。ヘッドデザイナーのユカリ・スウィーニーと、彼女の娘であり仕事のパートナーでもあるキミカ・スウィーニー、そして愛犬テディ。
日本のファッション業界での経験をもとにロンドンでサーフェスデザインを学び、Paul Smithなどで経験を積んだYukariのデザインは日本、アメリカ、ヨーロッパのテイストが融合しています。
デザインストーリーと共に、新作7デザインをご紹介。
スタジオの近くにあるグリニッジマーケットや、古本屋さんに通ってはイラストの可愛いもの、装丁が面白い本を集めています。誰かのお気に入りであった本たちは、所々破れていたり、覚え書きやいたずら書きや、プレゼントした人のメッセージが入っていたりして、いろんなストーリーを秘めています。
そんな古い本を丁寧に解体して、優しい紙質を生かしながら版画やハンドプリントなどを施して新しい物語にしてみました。
デザインのタイトル、オースティンは、私たちの大好きな作家 Jane Austenからとってみました。
【 Botany(ボタニー) 】
植物学、という少し大袈裟なタイトルのデザインのボタニーは、とてもパーソナルなイギリスのワイルドフラワーのハンドドローイングです。私たちは、道端や庭の片隅に誰にみられるでもなく時として世話をしてもらうわけでもなく、でも精一杯育って花を咲かせる草木が大好きです。
「雑草という名の草木はない」という言葉のもと色々と調べながらハンドドローイングをしたので、そばに小さな名前もきちんと入れてみました。これからはその名前で野草たちを覚えていきたいなあと思います。
【 Highland (ハイランド) 】
スコットランドの国花アザミをデザインの中に入れ込んだデザインです。
少し無骨で、温かい、そしてまだまだたくさんの自然に恵まれたスコットランドはとても魅力のあるところです。その中でもハイランドはグレンコーの荒涼とした地方ですが、そこで生まれ育つハイランドポニーは、クイーンエリザベスのお気に入りでもありました。そう言ったことからとても思い入れの強い場所でもあるハイランドの冬の空を思わせるストーミーグレーと短い夏の丘を思わせるハリスグリーンの2色をステンシルのような不揃いさを大切に仕上げてみました。
【
Jet (ジェット) 】
ロンドンのスタジオのそばにあるブラックヒースという原っぱや、グリニッジパークから見る空は何も遮るものもなくとても広い空で、そこを行き交う飛行機たちが気まぐれに描く飛行機雲を見るのが大好きです。イギリスのお祝い事の象徴でもあるイギリス空軍所属のアクロバット飛行隊レッドアロウズの演技に使われるスモークの赤白青のコンビネーションを使いました。
そして小さく片隅に入ったメッセージ「i love you to the moon and back」はこちらの子供たち(大人もです)がよく大好きな人に使う言葉で「月に行って戻ってくる距離ほどあなたのことが大好き」と言ったような意味があります。壁に小さくそんなメッセージを入れても楽しいかなと思いました。
【 Stella (ステラ) 】
1990年代に活躍したモデルのStella Tennantからインスパイアされたデザインです。彼女は、その昔、上流階級のアイコンでもあったミッドフォード姉妹の子孫にあたる女性でしたが1990年初頭当時はまだ珍しかった鼻ピアスにショートカットという個性の強いモデルとしてデビューし、その後ファッション界でいろいろな活躍をした人でもあります。イギリスの大きなマナーハウスの部屋の中でタフタのドレスに長靴という出立ちで庭から切り取ったばかりのチューリップを大きな花瓶に無造作に飾るステラの姿というイメージから出来上がったデザインです。何百年と経つ大きな家の中の動くことのない空気の中に一瞬吹いた風のような、もしくは誰も使うことのない廊下の薄明かりのような色を使ってみました。
シフォンとタフタの2色展開。
モチーフサイズも3sizeあり、ベースカラーの無地と組み合わせることでコーディネートの幅が広がります。
A flower does not compete with the one next to it. It just blooms.
花は周りの花たちと競うことなく、ひとりただ咲き続ける という訳になりますが、簡単にいうと「あるがまま」です。これは私たちに14年間と10ヶ月寄り添って生きてくれた小さな犬のテディの姿でもありました。人を区別もジャッジもしない、毎日のルーティンをまるで生まれて初めてのような様子で暮らしていく彼の存在は私たちに人の幸せというものを教えてくれたような気がします。とてもパーソナルなデザインですが、彼が大好きだったタンポポの花のモチーフに小さく入れたこのメッセージが時として人を優しく癒すことができたらいいなとも思います。
6色展開。
カラーによってグラデーションの濃淡が異なるのも、ユカリ・スウィーニーのこだわり。だからこそ、機械的ではない、オーガニックなやさしいデザインに仕上がります。
10年ほど前、ローカルのお客様のために段ボールでバースデーケーキを作ったのが始まりで、ほぼ趣味の枠で鳩時計やフォトフレーム、古いテレビやカメラなどを作ってきた私たちです。今では「裏メニュー」のような感じでオーダーをいただくようになりました。デリバリーされる壁紙などが入った段ボール箱を捨てないで活用するのは、エコフレンドリーでもあるし、何よりアップサイクリングだという理由だったのですが、実はとても楽しい仕事でもあります。
今回は、一つ一つ作ったフレームを使ってデザインを起こしました。段ボールを使うことによって出てくる未完成さによって、手作りのものに出る暖かさを少し抑えてみました。