
輸入壁紙の印刷技法とは?
壁紙のデザインを眺めていると、色の重なりやインクの質感、柄の細やかな表情など、一枚一枚に異なる魅力があることに気づきます。その美しい表情を生み出しているのが、さまざまな「印刷技法」です。
輸入壁紙には、昔ながらの風合いを残す伝統的な印刷から、繊細なディテールを美しく表現する技法まで、いろいろな印刷方法が使われています。同じブランド・コレクションの壁紙であってもデザインにより印刷方法が異なることもあります。
印刷技法を知ることで、いつもの壁紙選びが少し違った角度から楽しめるかもしれません。
今回は、輸入壁紙で使われている代表的な印刷技法と、印刷とエンボスを組み合わせた表現技法を含め、それぞれが生み出す質感や仕上がりの違いをご紹介します。
01 サーフェスプリントとは?
サーフェスプリントは、凸版印刷方式の一つで、1838年にイギリス・ランカシャーで発展した伝統的な機械式印刷技法です。手作業による木版印刷をより効率よく行うために生まれた技術で、現在では専用の印刷機も世界にわずかしか残っていません。

1838 Wallcoveringsが所有する印刷機
サーフェスプリントの特徴は、インクを厚くのせて印刷すること。印刷ローラーの凸部分にインクを付け、紙の表面に転写します。ローラーが回転するたびに、乾く前のインクの上へさらにインクが重なり、機械印刷でありながら、まるで手刷りのような味わい深く贅沢な風合いが表現されています。
長い歴史の中で受け継がれてきた、手仕事を思わせる豊かな表情も魅力です。


壁紙:1838 Wallcoverings / V&A DECORATIVE PAPERS / MACAW Teal 2311-167-04
02 フレキソプリントとは?
フレキソプリントは、凸版印刷方式の一つで、柔軟性のある凸版にインクを付け、壁紙に転写する印刷技法です。細かな柄や繊細なディテールまで、クリアに表現できるのが特徴です。
私たちが日常で目にする紙袋やパッケージなどへの印刷にも、このフレキソプリントが使われています。


壁紙:1838 Wallcoverings / WILLOW / Ripple Bracken 2008-146-01
03 サーフレックスプリントとは?
サーフェスプリントの手描きのような豊かな風合いと、均一に印刷されるフレキソプリントを組み合わせた印刷技法です。それぞれの印刷を精密に重ねることで、奥行きと立体感のある、美しい表現を生み出します。


壁紙:LIBERTY / WILTSHIRE BLOSSOM / FENNEL 07231001F
04 グラビアプリントとは?
グラビアプリントは凹版印刷の一つで、印刷用シリンダーの表面に細かな凹部(セル)があり、そこにインクを入れて壁紙へ転写します。凹部の深さなどによってインク量を調整できるため、細かな階調やグラデーションを表現しやすく、大量生産に適しているのも特徴です。


壁紙:MORRIS & Co.(ウィリアム・モリス) / Strawberry Thief 216804(212564)
05 シルクスクリーンプリントとは?
シルクスクリーンプリントは、細かな網目状のスクリーンを版として使い、インクを押し出して印刷する技法です。一色ごとに版をつくり、インクを重ねながらデザインを仕上げていきます。なかでも手作業で行うハンドスクリーンでは、インクの重なりや濃淡、わずかなニュアンスなど、機械印刷とは異なる豊かな表情が生まれます。
Daniel Heathのプリント風景

壁紙:Daniel Heath / Onyx Skyline Ebony Black & Gold
06 ロータリースクリーンプリントとは?
ロータリースクリーンプリントは、シルクスクリーンプリントを機械化した印刷技法のこと。金属メッシュ製の円筒状のスクリーン版を使用し、紙が機械を通過する間に、複数の色を連続して印刷することが可能です。メッシュの仕様などによってインクの量を調整でき、大量生産にも適しています。
シルクスクリーンの手仕事を思わせる豊かなインクの表情と、機械印刷ならではの安定した仕上がり。その両方を兼ね備えているのが、ロータリースクリーンプリントの魅力です。
07 デジタルプリントとは?
デジタルプリントは、デザインデータをもとにインクジェットなどで直接素材にインクを吹き付けて印刷する方式です。従来のような印刷版を必要としないため、リピートのないビッグパターンの表現が可能となり、壁画調の壁紙=MURAL(ミューラル)が出現、インテリアをよりダイナミックに華やかに、そしてパーソナルなカスタマイズ対応も可能にしました。複雑なデザインや写真のような表現、少量生産などにも適しています。

壁紙:PHOTOWALL / Manhattan Skyline (e315919)
たとえば PIET HEIN EEK の SCRAPWOOD WALLPAPER は、デジタルプリントだからこそ表現できる、圧倒的なリアリティ。廃材一枚一枚の色や質感、傷や経年変化まで緻密に再現し、壁紙でありながら、まるで本物の廃材を壁に張り合わせたような存在感を放ちます。
そして最大の特徴が、柄のリピートがないこと。一定のパターンを繰り返さないことで、壁全体に不規則な古材が連なる、自然な表情が生まれます。こうした自由度の高い表現も、デジタルプリントの魅力のひとつです。


壁紙:SCRAPWOOD WALLPAPER 2 / PHE-10
※ WALLPAPER MUSEUM WALPA / OSAKA 店内
08 同調プリントとは?
同調プリントとは、プリントされた柄に合わせてビニール素材を型押しし、壁紙表面にエンボス(凹凸)加工を施す表現技法です。印刷された柄の位置とエンボスローラーの凹凸が正確に一致することで、タイルや木目などの素材感や、刺繍のテクスチャーなどをよりリアルに再現できるのが特徴です。


壁紙:MISSONI HOME / ORIENTAL GARDEN 10015
たとえば Marburg / Almond Blossom では、本物の絵画を再現した色使いやゴッホ特有の力強い筆あとが、印刷とエンボス加工でリアルに表現されています。


壁紙:Marburg (マルブルグ) / Almond Blossom MT17140
目で見るだけでなく、触れたときにも素材の質感を感じられる。そんなリアルな表現を生み出す、印刷とエンボスを組み合わせた表現技法です。
まとめ

いかがでしたか?
一枚の輸入壁紙に込められた、色や質感、細やかな表情。その美しさの背景にある印刷技法を知ることで、壁紙はまた違った魅力を見せてくれます。
知れば知るほど奥深い、輸入壁紙の世界。 これからは、その一枚が生まれた背景にも思いを馳せながら、輸入壁紙を楽しんでみてはいかがでしょうか。
